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その73 mc vol.27 「always I think of....」

 第27回  MysteryCircleに参加させて
いただきました。

こりずに参加しています(;´▽`A``
今回の「お題」は わたくしrudoが
出させていただきました。

自分で出しておいて 自爆・・


今回は自分の出したお題を
みなさんがどんな風に展開してくれるのか?
という別の楽しみがあったので
いつもより((o(*^^*)o))わくわくしました。

その中でrudoが 気になった作品を
ここで紹介いたします。


「Desire」 Monica さん・・
自分しか愛せない女性の哀しさを感じました。
居場所がないと感じながら育つと
なかなか人を愛せないんだろうなぁ・・と。
まず自分が愛されたいと熱望してしまうから。

なんてことを思いながらせつなく読みました。


「欺いた仮面」 かしのきタール さん・・・
こんなん書いちゃってぇ・・

お母さんたちの係わり合いが生々しいです。
妙子さんが悲しいです。 こういう孤独感は精神にくるので
こわいです。 絶妙のところで終わっていますが・・
その後が知りたいと思ってしまうのでした。


「Time is ....」 櫻朔夜 さん・・・
しょっぱなからのめり込み。
からからと乾いた語りが重いぞ重いぞと感じさせます。
この主人公が思い残すことなく最後の仕事を終えたことに
救いを感じてしまいつつ、この主人公の手にかかった13人の
被害者の事情までいろいろ想像しちゃったりして
この書き手さんはそんなこと望んでいないだろうと
思うのですがついついあれこれ考えちゃう奥の深い話だと思いました。


「夜という海」 国見弥一 さん・・・
言葉のつむぎ方がすてきで
没頭して読ました・・ラストで「あっ? なんだ? あはははははは・・・」
と笑ってしまいましたが笑いは はぁ~・・・ためいき・・そして沈黙。
おかしくて、寂しくて、哀しくて・・・そんな話でした。

実は・・・Clown さんに割り当てられていたお題が
私は一番気にかかっていたのですが・・残念。
今回はpassみたいです・・

・・ではrudoの提出分です。
これを書くにあたり ずーっとBGMは
Daniel Powter - Bad Day でした。
歌詞と内容はまったく関係ありません。
もしよかったら 聞きながら読んでみてください。

さんざんかけていたので 家の人たちは
この曲が大嫌いになったようです。
ちょっとでも かけると 歯をむいて怒ります(x_x;)

こちらから 聞けます。

Bad Day


◎「きれい、くるくるウズができるね」 で始まり・・

◎「ゆらゆらと揺れる炎の世界へと入っていった」 
 で おわる・・

「 always I think of ... 」 rudo著


私は もうどこにも心を寄せたりしない。


M0a



西日がまぶしくてよく見えない。
テレビの画面に窓の外が映りこむ。

私はシュンに抱かれながら
テレビを見ていた。

シュン。見て、きれい。
くるくるウズができるよ・・・

リキッドタイプのミルクのCM。

コーヒーに上からミルクを垂らす。
ミルクの白は
内側から外へと 渦をまく。


私とシュンのsexは
ご飯を食べたり
歯をみがいたり
本を読んだり

そんな風なことと同じ場所にある。
いつも 平常心のまま始まって
平常心のまま終わる。

声も立てず・・吐息ももらさず
普通におじやべりをしながら
いつまでも ただ
つながっているだけだったりする。

それは私がなるべく気持ちを平らかに
しようとしているせいだ。

不感症なわけではない。
体はちゃんと反応する。

だけど触れても触れられても
膜を通したように遠く
心にとどかない。

とどかないようにしている。



「コーヒー飲みたくなっちゃったな。
 ちょっと飲んでから 続きにしない?」

うん。いいよ。

私は裸のまま お湯を沸かしに行く。

シュンはコーヒーメーカーや
サイフォンで淹れるコーヒーより
インスタントコーヒーが好きだ。

ちゃんとしたの淹れようか?
私 豆を挽くのうまいのよ。
そういったこともあるけれど

「そんな洒落た育ちじゃないんだ」
そう言って 笑う。

インスタントコーヒーをカップに入れて持っていく。

シュンはカップを受け取り
一口飲むと 私を膝にのせ
ゆっくりと中に入ってくる・・・

「あれは・・・しょうゆだよ」

しょうゆ? なにが?

「ミルクが きれいに渦をまくのは
 コーヒーじゃなくて しょうゆだからなんだ」

あぁ・・さっきの話か・・と納得する。

シュンはそういう人だ。

何か話していて
その時 答えが返ってこなくても
しばらくして・・
あるいは ずいぶんたって・・

もう忘れた頃に
唐突に返事がかえってきたりする。



「りょうこ。俺・・・働くよ」

今だって、働いているじゃない。

「そうじゃなくて、ちゃんとどこか就職してさ」

・・・

「もちろん墨も消すよ」

・・・

「だからさ。 俺たちも ちゃんとしない?」

私のことなんて 何も知らないくせに・・・


「必要なことは知ってるさ。
 りょうこは何を知ってほしいの?」

私はシュンのこと好きじゃない。

そっぽを向いてそう答える。
シュンは少し傷ついた顔をして
でもちっとも気にしない風に
私を抱きしめる。

「嘘だよ。りょうこ。
 じゃあ どうしてここにいるんだよ」

「かんのん」がいるからよ。
「かんのん」に抱かれていたいからよ。
最初にそう言ったじゃない。


「うん、いいよ。
 それでもいいよ。りょうこ」


シュンは 今度は上になり
浅く 深く
はやく ゆっくり 動く。
そして 耳元でいつまでも
 「りょうこ りょうこ・・・」 とささやき続ける。



------------------------------------------------------------

「かんのん」

観音。


シュンは左肩から肘にかけて精緻に
彫られた観音を持っている。

「多羅尊観音」(たらそんかんのん)というのだとシュンは言った。
救済者なのだとも・・・


日本ではあまり知られていなくて
だから決まった姿はないのだそうだ。

シュンの観音は 三日月の上に立ち。
小さな炎を手にしていた。

三日月はうっすらと黄色く
お湯に浸かったり
汗をかいたりすると
色鮮やかに浮き上がる。



シュンと初めて会ったのは去年の秋祭りだ。

賑やかな音に誘われて
覗きにいってはみたけれど

家族づれや 子供たちの笑い声は
かえって私に「誰もいない」という事実をつきつけた。

あまりの孤独にしゃがみ込んだ目の前に
シュンが金魚すくいの店を出していた。

そして「かんのん」を見た。

私は観音に触れてみたいと思い。
観音の彫られた腕に抱かれたいと願った。

「その観音像の腕で私を抱いてくれませんか?」

私はシュンにそう頼んだのだった。


Man02



----------------------------------------------------


夢を見ていた。

「かんのん」
小さな炎を手のした「かんのん」

炎はくらりと揺れて
「かんのん」に不思議な陰影をつける。

そして私に向かって 手をさしのべる。

私はその手にすがろうと
手を伸ばす・・・

ギュッと握られて目が覚めた。

私の手をとっているのは
シュンの暖かな手だった。


「りょうこ。仕事に行って来る」

そんな 時間?

「うん。3時過ぎた」

シュンは今、二つ先の駅にある神社の
秋祭りに出店している。

また・・金魚?

「いや、たこ焼き。
 夕飯はたこ焼きにしようぜ」

青ノリとカツオ節はかけないでね。

「何だよ それ。
 そんなの たこ焼きじゃねえよ」

シュンは苦笑しながらドアを開け
振り向いて 早口に言う。

「あのさ、さっきの話だけどさ・・
 ちゃんと考えてみてくれないかな」

私はシュンのことを特に好きなわけじゃないの。


「観音像が気に入っているならこのままで
 なんとかするよ。ずーっと長袖で通せばいいんだし」



私は誰も好きにならないのよ。



背中を向けたまま答える。

怒ってよ シュン。
怒って嫌いだって言ってよ。
そう念じる。

だけどシュンは怒らない。



「時間ないから・・行くけど
 帰ってきたらもう少しちゃんと話そう」



シュンはそう言ってドアを閉めた。

-------------------------------------------


途方にくれた。

私はもう誰かを大切に想ったり
誰かを特別な位置においたり
そういうことをしたくなかった。


私が大切だと思う人・・・
私が失くしたくないと願うもの・・・
みんな どこかにいってしまうから。


まだ学生のころに両親をなくし

そのあと世話を引き受けてくれた
伯母をなくし・・・ 

結婚して二年もたたずに
夫をなくし・・・

その時 おなかにいた子も
流れてしまった時

あまりの事に 騙されるのを覚悟で
占い師に視てもらった事がある

私の情念は強く。激しく。
気持ちを傾けると相手を
呑みこんでしまうのだと言われた。

嘘だとか本当だとかは
もう どうでもよかった。

こんな悲しみを味わいたくない・・・
その為だけに私はこの先ずっと
どこにも 何にも 心を寄せたりしない。
そう決めた。

決めたのに・・
いつのまにかシュンは
私の大事な人になっていた。


極力考えないようにしているだけで
ずっとシュンといっしょにいたいと
思っていたのは私の方かもしれない。


そう認める事は怖かった。
認めたとたんにまた
私はシュンを失ってしまうんじゃないかと
今までがそうだったように・・・


シュンには「かんのん」がついているから
大丈夫かもしれない・・
自分の都合のいいように
そんな愚にもつかない事を思ってみる。

観音様ってそういうものだよね?

苦しむ人の声を聞き
救ってくれるんじゃなかったっけ?


帰ってきたら 話してみようかな・・
私のこと 私の思っていること

私もシュンが好きだっていうこと。
シュンに・・シュンとシュンの「かんのん」に。

そう思うとなんだか
少し 気持ちが明るくなった。

どこから どんな風に話そうかと
考えているうちにもう9時だ。

9時にはお祭りが終わる。

10時にはかた付けも済んで
みんなでちょっと 一杯飲んで・・・

たいてい 11時には 
「りょうこ。たこやき」だったり
「りょうこ。 金魚」だったり

「りょうこ。やきそば」だったり・・

そんな風に言いながら帰ってくる。


今日はたこ焼きだって言ってたから・・
たこ焼きだけじゃさみしいから
サラダでも作っとこうかな。

たこ焼きは たこ焼きだけかなぁ。

 
だけどシュンは12時を過ぎても帰ってこなかった。



--------------------------------------------------


お祭りの後のささいな喧嘩だった。

小さな冗談が 罵り合いに変わり
怒鳴りあいになり・・・

手が出て・・・・

周りを巻き込んだ小競り合いになり
その真ん中で シュンは刺された。

血が流れ出るのに時間がかかり
倒れるまでに時間がかかり

まわりが気づいた時は
手遅れになっていた。


白い布に包まれた シュン。

呆然とする私の横には
警官がいて あれこれと
シュンのことを聞いてくる。

私は何一つまともに答えられない。

私はシュンの本名さえ知らなかった。



私が大切だと思う人・・・
私が失くしたくないと願うもの・・・
みんな どこかにいってしまうから

「もうどこにも心を寄せたりしない」

そう決めたのに・・
私は何を・・・


私の隠していた想いがシュンに向かい
シュンがゆらゆらと揺れる炎の中に
呑み込まれるのが見えた気がした。



もう私には流す涙も残っていない。

私はただひたすらに
シュンの腕の「かんのん」を
撫でさする。

 


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Comments

いやはや、全く。
かんのんだもんね。
ひらがなで書くのと漢字ばかりで書くのと
どちらもいいね。
墨だしね。(意味不明)
今回も皆さん深くって、しょっぱなから倒れそうです。
最初にrudoちゃんのから読んでます。もう・・良すぎて倒れそう。

Posted by: なずな | October 29, 2007 at 01:12 AM

哀しいなあ。
暗い湖のそこに引きずり込まれそうよ。
もっと明るいの書いて!
無理なお願い(⌒-⌒)ニコニコ...

こんな人生だったら死んでしまうよ→私。

てか、死ぬ勇気もなくて腐ってドロドロになって、やっぱり死ぬか。

Posted by: ヨッピ | October 30, 2007 at 12:13 PM

読み終えてシュンとなっちゃった。でも、その誰かさんのシュンになりたいとも。
ここまで悲劇的な世界を描けるのは、書き手が根底にやたらと明るい部分を持っていて、それが気恥ずかしいってことおあるんじゃなかろうか。邪推?
うむ。人をリアルに見る目が自分で億劫なのかな。にもかかわらず、rudoさんファンって多いよね。
小生も何故か、rudoさんを風吹ジュンさんってイメージで恋焦がれています。

Posted by: やいっち | November 01, 2007 at 10:35 AM

推薦があったので、Monica さんの「Desire」 を読んできた。どうしても書きたいんだなってことが伝わってくる作品だった。で、Monica さんのサイトに飛ぶと、冒頭にオヤッと思う写真。一瞬、何かの間違いかなって思ったら、まさにテーマそのものなんだね。
五歳での体験や記憶は決定的なものなのだろうな。
小生の場合、保育所の頃の人生観から全く抜け出せない。居場所がないってのが物心付いた時の感覚。世界から切り離されているという感覚。身も心も切り刻まれて、どこかに放り出されたという感覚。
表現にこだわるのも、空白の頁を埋めたいからなんだろうな。決して埋まるはずはないと分かっているんだけど。

Posted by: やいっち | November 01, 2007 at 10:54 AM

ども。今頃こんにちは、こんなのかいちゃってぇ、のタールです。
感想うれしいです。あまりブログ徘徊してないので
気付いてませんでした、すいません。
さっき、ゆきのさんに教えてもらいましたのです。
さっさと自分のブログを作り直そうと思ってますが、
そのままで。何かと不都合なので、はやくなんとかしてまたご挨拶にきます。
(何をいってるのか。。。。)


Posted by: タール | November 28, 2007 at 02:54 PM

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